サイケデリックス と ブレスワーク は "覚醒プロジェクト"

ブレスワークのお話 Apr 26, 2019

2019年9月、「米国ジョンズホプキンズ大学に、サイケデリックスと意識の研究センター (the Center for Psychedelic and Consciousness Research) 開設」というニュースが発表され話題になりました(英語は、こちらの記事)。

これは2019年4月にロンドンのインペリアル・カレッジに同類の施設が開設されたのに引き続き、世界で2番目。これまでは「ドラッグの乱用」ばかりが取り上げられ、ことに日本では相手にされてこなかった議論ですが、これらの研究センター開設は、LSDやシロシビン(マジック・マッシュルームの成分)が、拒食症やさまざまな中毒、うつ病に効果があることをすでに解明していて、幻覚剤の世界的認知や一般的な実用に向け、さらに拍車をかけそうです。

この動きの中心になっているのが、ジョンズ・ホプキンズ医学校で心理学と行動科学の教授を務める ローランド・グリフィス氏

https://www.youtube.com/watch?v=81-v8ePXPd4

「スピリチュアリティと科学は、相容れないものだった。でも、アインシュタインだって『スピリチュアリティーは、全ての科学の源泉だ』と明言している。現在、まさにスピリチュアルティと科学の融合が始まっている」と話した上で、マジック・マッシュルームの摂取が、がん患者や鬱病、さらに様々な精神疾患にある人のみならず、健常者の意識の覚醒に役立つと研究結果を発表しています。

写真は、サイケデリック・セラピストの元で、マッシュルーム入りチョコレートを摂取したセッションの様子。テレンス・マッケナ氏が “heroic dose”としたのは、5gのマッシュルーム摂取。1日がかりのセッションは、「全てを手放し命の流れに乗れば、全ては一つである」と言う非二元論(ノンデュアリティ)の世界を体験させてくれました。(ただしグリフィス氏も言うように、幻覚剤の使用は、不安や恐怖を増幅させる場合もあるので注意が必要)

ノンフィクション作家、マイケル・ポーラン氏 の “How to Change your Mind” も話題に。

さて、ではブレスワークとの関係性は、一体何なのか?グリフィス氏は、「マッシュルームやそのほかのドラッグと言われる幻覚剤も、ブレスワークも、神秘的な体験をさせてくれるものと言う意味で同じ。全て『覚醒プロジェクト ”awareness project” 』の一つと言える」としています。

両者の「神秘的な体験」に通じるのは、こんなこと:

  • 全てが一つ、全てがつながっていると言う意識。神聖なる感覚がよみがえり、全ての物事を畏敬の念を扱うものとしても捉えるように意識が働く。
  • 肯定感の向上。愛、落ち着き、意識の高揚など、全体的なムードが高まる。
  • 時間や空間を超えた、非二元論(ノンデュアリティ)の世界への到達。時空を超える経験。

ブレスワークと幻覚剤の決定的な違いは、ブレスワークは呼吸のみで変性意識に到達できる、ただ集中力やある程度のプラクティスを必要とする、と言うこと。また、人によっては効果が柔らかいと言うこと。一方、幻覚剤は、強制力があり、否応なしの「トリップ」をさせる。

私たちは普段マインドに支配されてしまっていることが多いけれど、意識はもっと深いところにある。それに気づかせてくれるのが、幻覚剤であり、ブレスワークだと言うのです。ブレスワークも、「サイケデリックス心理療法」と呼ばれるもの。ブレスワークを経験された方であれば、納得が行くかもしれません。

私がコスタリカでセッションしていた時は、車椅子の方も来て下さっていました。

「足が不自由で動けなくても、意識は自由に動き回れる」、と。

水中のブレスワーク・セッションの様子。

今、アメリカを中心に、マッシュルームやアヤワスカ摂取の儀式も盛んです。ここにきて「仏教とサイケデリックス」の関係性 を説く人もいます。マッシュルームの効能を描いた映画、Fantastic Fungi も話題になっています。ブレスワークも、今世界中で盛り上がりを見せています

ブレスワークの生みの親、スタンレー・グロフ氏、先日亡くなったスピリチュアル・リーダーのラム・ダス氏、マッシュルームの幻覚性を突き詰めたテレンス・マッケナ氏など、元々の活動思想の根っこは一緒。一度は暗闇に押し込まれてしまった彼らの功績がまた今、よみがえり、幻覚剤、そして呼吸を起爆剤として、シャーマニズム的な自然と共生する精神が復活している、と言えそうです。

ただ、グリフィン氏も指摘するのが、覚醒した状態を、どう維持するか。覚醒経験を、どう日常に生かし続けるか、と言うこと。これは言わずもがなですが、一人一人のコミットメントにかかっている、と言えそうです。

特にコロナ・ショック後の世界において、「私たちは一つ。we are all in this together」と言う視点は、これから人類が生き残っていくためには必要不可欠であり、私たちが高度に進化し生きていくために、ブレスワークなどの手法を通しての意識の覚醒がますます広がっていくことを期待します。サイケデリックスとは、「魂を顕現させる」(はっきりあらわにする)と言う意味があるんだそうです。覚醒プロジェクトの一つとして、人類が魂レベルを高めて生きていくために、サイケデリックスの認知や利用、またブレスワークがさらに広がり深まりを見せますように。