保存版!多様なブレスワークの種類とプラクティスまとめ

ブレスワークのお話 Feb 27, 2022

近年、心身を整える深いワークを呼吸だけで達成するとして、世界で大注目の「ブレスワーク」。日々、書籍やYoutubeガイド映像など新しい情報が次々と出てくる中、「ブレスワーク」と一言に言っても、人によって様々な解釈やプラクティスがあります。特に日本ではまとまった情報源が限られているため、現段階で私の知る限りの情報をまとめてみました。みなさんの理解を深められれば嬉しいし、おすすめのプラクティスにつながるリンクも掲載したので、ぜひご活用下さい。上手に呼吸を日常生活に、そして深いインナーワークに取り入れていきましょう。

 

様々な種類のブレスワーク

まず上図のようにカテゴライズしてみました。
・かかる時間(SHORT:1〜30分ほど / LONG :1〜3時間ほど)
・効果、効能(FLY:アッパー、速め / GROUND:ダウナー、遅め / WHOLE JOURNEY:ひとつの旅のように全てを経験)
・ガイド(CONTROL:ガイドやリズムあり / NON-CONTROL:ガイドやリズムなし

個人的には「ブレスワーク」と言うと(そしてブレスワーク・ジャパンで実践しているものは)オレンジ色で表したエリアのもので、それは変性意識に働きかけ、感情リリースやトラウマ解消、さらに宇宙との一体感を味わうようなサイケデリックな体験を指し、最低でも1時間のジャーニー(トリップ)となります。

ただ広義のブレスワークでは、この図のピンクや青色で示したように、もっと短めなお手軽バージョンのものも含まれます。それはそれで隙間時間にできたり、継続してプラクティスしていくと呼吸機能が改善されたり、うつ病や慢性疾患が治癒されたり、様々なベネフィットをもたらしてくれます。ただ、それはオレンジ色で表された「本気のブレスワーク」とは別物。同じ「ブレスワーク」と言っても、何を意味しているかを理解しているかは大切です。

FLYは、速めの激しいもの、または途中で息を止めたりする呼吸法が多く、エネルギーの活性化や肺機能の強化に最適。朝やったり、エネルギーをチャージしたい時などにお勧めです。
GROUNDは、ペースが遅くゆったりしていもので、落ち着いたり集中力を高めたりする時に使います。
 WHOLE JOURNEYは、たっぷり時間をとって深くワークしたい時にお勧め。ブレスワークの醍醐味です。

(ちなみに、このFLYとGROUNDという区分名は、短い時間で出来るブレスワークのアプリ、Othership からインスピレーションを得ました。 ちょっとした時間で出来るブレスワークのプラクティスがたくさんあって、おすすめ)

  

さらにこれらの区分に、特定の呼吸法をマッピングしてみました。これ以外にもたくさんあるし、呼び名も統一されてないものもありますが(本当に、今は玉石混交、言ったものがち!と言う感じ)、ここでは代表的なもの、さらに私が普段プラクティスしているものを挙げてみました。

どのブレスワークにも共通する、呼吸の仕方のポイントは次の通り。
・マインドフルでリラックスしていて、力が抜けている、瞑想状態にあること
・横隔膜が動いている腹式呼吸をしていること
・ほとんどの場合が鼻呼吸をすること

 

一つずつ駆け足ですが、解説していくと、
まずは、 FLY & SHORT、短期間で出来る速めの激しい呼吸

ヴィム・ホフ・メソッド

オランダ人、ヴィム・ホフによる、免疫力やパフォーマンス強化のための激しい呼吸法。この方の元気で愛くるしいキャラクターやビジュアルも手伝って、特に男性を中心に、ガイドトレーニングを受ける方が急増しています。昔からチベット僧が極寒のヒマラヤで鍛錬していたTummo(ツンモ)という呼吸法、それにクンバカ(止息)を組み合わせながら、激しく短い呼吸を続けた後に息を止めることを繰り返し、体内の熱や集中力を高めていきます。

【方法】
1  速いペースで、吸って吐いてを 30 
2. 吐いて、一旦 ホールド(止息)。できるだけ長く内側に集中。
3. 吸い込んで、10秒ほどまたホールド。
吐いて、リセット。これを3セット

【ベネフィット】
・アドレナリンが出る
・免疫力が高まる
・長く息を保てるようになる
・外的刺激に強くなる(コールドシャワー)
・瞑想状態に入りやすくなる

 

 
私はたまに朝やっていますが、継続して数週間やったことで、直後に腕立て伏せ150回出来るようになったという友達や、毎朝冷たいシャワーを浴びている友達もいます!人間の体だって、呼吸で活性化させれば怖いもの知らず、と本当に思う。特に欧米人の友達は、普通に日常のセルフケアに取り入れている人も多数。


プラーナヤーマ (ヨガの呼吸法)

プラーナヤーマ(調気法。プラーナ=生命エネルギー、ヤーマ=コントロール)は、古代からヨーガで体系化された呼吸法で、様々な種類があり、どれも代謝を促す、呼吸機能を強化する、免疫力を高めるなど、様々な効果があります。

 プラーナヤーマは、近年言われる「ブレスワーク」の部類には入れないことが多いと思いますが、れっきとした呼吸のワーク。というより、むしろ、最近いろいろ趣向を凝らしてパッケージされている「ブレスワーク」は、結局はヨーガや古代の先人たちが淡々と精神鍛錬していた智慧を現代風にアレンジしただけとも言えると思うので、ここでも紹介しておきます。

まずバストリカ呼吸法。勢いよく吸って、吐いてを繰り返していきます。特にクンダリーニ・ヨガでは、「火の呼吸」と呼ばれる大切な呼吸法です。

【方法】
1. 吸う息、吐く息を同じ長さ、強さで、少し速めに繰り返していく
2. 一定時間が終わったら、あごを引き入れると同時に会陰を引き上げるようにして、エネルギーを体内にホールドしても良い。内側のエネルギーを感じる。
3. 息を吐いて、リラックス

 一つずつの息とシンクロさせながら、手を上下に動かす、背骨を前後にゆする、上半身を左右に傾けて側面を伸ばす、ランジで腰筋を伸ばすなどなど、背骨を柔らかくしたり、呼吸筋を動かしたりしても良い

【ベネフィット】
・体を内側から温める
・内臓器官の活性化
・毒素排出、思考の明晰さ
・陰陽のバランスを整える

 

それからカパラバティ呼吸(=光る頭蓋骨)。バストリカと似ていますが、吐く時におへそを引き上げるように強く吐き出し、吸う時は自然にお腹を緩める呼吸法で、特に吐く息に集中するのがポイント。1分間で120回ほどに回数を速めていきます。

【方法】
1  思いっきり吐き出して呼吸。徐々に速いペースへ。
2. 吸い込んで、10秒ほど止める。

吐いて、リセット。これを3セットほど。

【ベネフィット】
・体を温める
・肺や呼吸器系の調整
・内臓の強化
・思考がクリアになる


ちなみに、私はこのクンダリーニヨガの激しい火の呼吸法と動きを朝、体内で熱を作りたい時は実施し、日中、集中力を増したり、心身のバランスを整えたりしたい時は、片鼻呼吸(ナディショーダナ)など、ほかのプラーナヤーマをプラクティスするなど、使い分けています。

 

次に GROUND & SHORT、短期間で出来るゆっくりめの安定した呼吸をいくつか。


ハートレゾナンス呼吸

レゾナンスとは、共鳴や共振を意味する物理用語。近年、心臓を研究するハートマス研究所などが中心に、心臓に意識を向けながら、呼吸を一定リズムに整え、そのリズムを心拍やその他の生理現象にも共鳴させることで、心身全てを一定のリズムに導く呼吸法として提案しています。

【方法】
1  心臓に意識を向ける
2.  5—7秒ほどかけて、ゆっくり吸い込む
3.  5—7秒ほどかけて、ゆっくり吐き出す

吐く息、吸う息の長さは同じ。
1分間の呼吸が、56回になるように。

【ベネフィット】
・自律神経のバランス改善
・不安やあがり症の改善


ちなみに、上記のYouTubeビデオを配信しているチャンネル、TAKE A DEEP BREATH では、たくさんのブレスワークのガイドビデオやインタビューを配信していて、とても参考になります。

ブレスワーク・ジャパンでも独自でビデオを作りました!


 


ボックス呼吸 

 正方形の四辺をなぞるように、呼吸と止息を繰り返していく、簡単な呼吸法。「逆境に負けない精神鍛錬法」として、アメリカ海軍の特殊部隊でも採用されているとして有名です。正方形をイメージしながら呼吸すると、イメージがしやすく簡単にできます。

【方法】
1  4秒、吸い込む
2  4秒、吐き出す
3. 4秒、吐き出す
4. 4秒、吐き出す

【ベネフィット】
・精神統一、精神安定
・集中力の向上
・あがり症や不安症の克服


ブレスワーク・ジャパンで制作したものは、こちら。


ブテイコウ呼吸法(浅呼吸)

 ロシア人医師のブテイコウ氏が提案した呼吸法で、最近では、パトリック・マキューン氏が、Oxygen Advantage 「人生が変わる最高の呼吸法」(邦訳も出ています)という本も出して話題になっています。

こちらの方のブログに詳しいですが、要約すると、
1. 現代人は呼吸をし過ぎていて、二酸化炭素を過剰に放出してしまっている(二酸化炭素は血液中に運搬されている酸素が、ヘモグロビンから離れて細胞に放出されるために必要な物質) 
2. 鼻呼吸をすることで、一酸化窒素を作れる(一酸化窒素は、気道や血管の拡張作用、抗菌作用、抗ウィルス作用がある。アメリカやカナダの政府では、コロナ予防や治療に一酸化窒素が利用されている)
なので、二酸化炭素を放出し過ぎず、さらに一酸化窒素を鼻腔で生成するために、基本は「ゆっくり静かに鼻呼吸をして、時には少し苦しいエアハンガー状態を作る」という呼吸法。

【方法】
1  細く長く鼻から吸い込む
2.(吸うより長めに)細く長く鼻から吐き出す

いつもより30%ぐらい少なめに呼吸、そして大事なのは特に吐く息をゆっくり、横隔膜をしっかり動かして、お腹で出し入れすること。

いくつかバリエーションがありますが、基本的には日常生活でも気をつけ、特に運動量が上がる時や、睡眠中でも口を閉じ鼻呼吸を心がけることが大切です。

 【ベネフィット】
・呼吸機能の改善
・自律神経のバランス、睡眠の改善
・スポーツパフォーマンスの向上

私は自転車に乗りながら、マスクを付けながらでも、口を開かずに鼻呼吸を心がけるようになり、それだけで呼吸が深くなっているのを実感しています。コロナにかかった時も、ブテイコウ呼吸を日々、実践していました。

4-7-8呼吸法

ホリスティック医療を伝える西洋医学の先生、アンドリュー・ワイル氏などが提唱する、リラックスする呼吸。呼吸により自律神経が整うことが分かっていますが、そのうち吐く息をゆっくり長目にすることによって、副交感神経を優位にさせるというもの。4-4-8など、カウントは様々。

【方法】
1. 4カウント、吸う 
2. 7カウント、止める
3. 8カウント、吐く(蝋燭を消すように、口から細く出してもOK)

 【ベネフィット】
・副交感神経の活性化

 

 

ここからは1時間前後の、比較的長いジャーニー

狭義の意味でのブレスワークは、オンライン上で実体験できるオンデマンドのビデオはあまりなく、対面かオンラインに関わらず、実際誰かにガイドしてもらい実施するものがほとんどです。

ホロトロピック・ブレスワーク

スタンレー・グロフ博士率いるホロトロピック・ブレスワーク。自己探求と個人のエンパワーメントへの強力なアプローチであり、「人間の精神の革新的な拡大地図作成」とも言われます。その理論的枠組みは、現代の意識研究、人類学、さまざまな深層心理学、トランスパーソナル心理学、東洋の精神的実践、世界の神秘的な伝統からの洞察を統合したもの。

本部はアメリカ。スペインやオーストラリアなどでファシリテーターの育成を行っていて、認定は最短でも3年。現在では認定を受けたファシリテーターが、世界各国で1日または週末ワークショップを開催しています。

 以前まとめたこちらのブログもご参照のほど。

 

リバージング・ブレスワーク

レオナルド・オアにより1970年代に確立されたのが、リバージング。名前の通り「再誕生」を意味し、幼少期のトラウマなど未消化、または抑圧された感情が解放されるなどの効果があるとされています。

ホロトロピックと似ていますが、吸う息と吐く息をぐるぐる回す循環呼吸を強調、ホロトロピックより音楽の優先度が低いなど、若干の違いがあります。 

ニューロダイナミック・ブレスワーク

アメリカ人のマイケル・ストーンが展開するブレスワーク。ほぼ毎日のようにオンラインでセッションを行ない、ホロトロピック・ブレスワークを改良したセッションを展開中。2021年からはトレーニングも開始。

それ以外のものも、箇条書きで挙げると:
 

Biodynamic breath https://www.biodynamicbreath.com
ウクライナ人、NYに長く滞在した ギテンが率いる団体。こちらも世界各国でトレーニングを行ない、モジュール形成もしっかりし、ウェブセミナーも行なっていて、近年、組織も成長中。

 Alchemy of Breath https://www.alchemyofbreath.com
ソフトで優しい語り口でガイドしてくれるアンソニーが始めたのが、Alchemy of Breath。主にヨーロッパ、それからバリでもトレーニングを実施。日曜日には無料のオンライン・セッションあり。

SOMA Breath https://www.somabreath.com/
製薬会社に勤めていたニラージュが率いるSOMA。美しい映像や音楽、途中のクンバカや会陰を引き上げる、サードアイに白い光を感じるなどの工夫で、コミュニティーを形成中。


そのほか個人でガイドしている人の紹介: 

Dan Brule https://breathmastery.com/

Erin Telford https://erintelford.com
「お腹に吸って、胸に吸って、そして吐く」という二段階呼吸。Erinの先生、David Elliott は、昔からブレスワークを広めている人で、彼を師匠にして活動している人も多いです。

The Breath Guy https://www.instagram.com/thebreathguy/
イギリスのRichie。穏やかで人懐っこい性格も人気のようです。

Steve Rio 
音楽アーティストであり、サイケデリック・ジャーニーのリトリートのガイドもしているSteve。彼のSpotifyで聴けるセッションが良いです。彼のように色々なヒーリング手法と合わせて実施している人も多いですね。

The Breath Collective https://ourbreathcollective.com
色々な呼吸法をみんなで深めていくサイト。

まだ他にもたくさんあると思いますので、ぜひお勧めがあったら教えて下さい。

 

色々なブレスワークの種類を紹介してきましたが、ここで紹介しただけでも、新旧たくさんのものがあります。どれがいい悪いことはなく、その時々の用途や、求めていることに応じて実践されるのがいいでしょう。

それぞれのブレスワークは、上図のように、音楽やリズム、ガイドやコーチング、映像などのビジュアル、ボディタッチ、エネルギーワーク(体を動かしたり、骨盤底筋を閉めたり、自由に声を出したりして エネルギーを動かすワーク)など、ガイドにおいても、強調するところが少しずつ異なります。

ガイドになる方、または日々のプラクティスにおいても、「自分は何を強調したいのか」「自分には何が有用か」を意識して自分なりのプラクティスを組み立てるのも良いでしょう。

一番大事なのは、色々試して、その時々自分にあったブレスワークを実践していくこと、その効果を味わっていくこと。お役に立てたら嬉しいし、ブレスワークジャパンのセッションやリトリート (2022は、3月16日〜京都にて)にも、ぜひいらして下さい。ともに呼吸のパワーを感じ、人生を深めましょう!